前回の記事で社会化に関する一般的なお話と、人に対する社会化をお話いたしました。今回はその続きで、「他の動物」および「音」に対する社会化についてお話いたします。
他の動物(小型犬・大型犬・猫など)に対する社会化
他の動物に慣れておくことは、今後の日常生活でも非常に重要です。お散歩や病院に行ったとき、あるいはペットホテルに泊まるときなど他の動物と触れ合う機会は多いです。子犬の頃に慣れさせることで、他の動物への攻撃性や恐怖心なく、みんなと仲良く過ごせます。ドッグランでうまく遊べるかどうかにもかかわりますので、そういったところに連れていきたい人は子犬の頃に必ずしっかり社会化をしてください。
犬同士の社会化のポイントは以下の通りです。
- ポイント1:できるだけ親兄弟と一緒の時間を長くとる
- 他の犬とうまく遊ぶ方法は、親兄弟から自然に学びます。これくらい噛んだら痛いとか、怒られるということを、子供のころの遊びから学びます。できれば2カ月齢くらいまでは親の元に置いていただけるブリーダーさんを見つけてもらえるといいと思います。
- ポイント2:小さいうちから他の動物と触れ合う機会を作る
- ワクチンが終わるまでは他の犬に合わせない――病気を防ぐ意味では安全な方法ですが、これでは社会化を行うことはできません。ワクチンをしっかりしている犬とはすぐにでも会わせてもらっていいですし、1度でもワクチンが終わっていれば、ある程度の散歩はしてもらった方がいいでしょう。
ただし、初年度のワクチンがしっかり終わっていない場合は、パルボウィルスなどの怖い病気をもらうリスクはあります。ワクチンを打っていない犬や、草むら、他の犬が尿や便をするような場所には近寄らせないようにしてください。しっかり管理されているパピーパーティやドッグランに積極的に参加することは非常にお勧めです。できるだけ小さいうちに他の犬との遊び方を覚えさせてください。
- ポイント3:いろいろなタイプの動物に会わせる
- 「大型犬だけ怖がって吠える」とか「猫を見ると興奮して我を失ってしまう」という子もいます。子犬は意外と動物の種類を見分ける能力を持っているので、できるだけたくさんの種類を見たり触れ合ったりする機会を与えてください。
- ポイント4:怖い思いはできる限りさせない
- 犬は人と同様に、トラウマをなかなか忘れることができません。将来の恐怖心に繋がってしまうので、怖がっている場合は、最初は安全な場所で状況を観察できるようにしてあげてください。徐々に恐怖心をなくしてあげることが大切です。少しずつ警戒心を解いて、自分から遊びに参加できるのが理想です。
音に対する社会化
特定の音を怖がったり興奮したりする犬は多いです。雷を怖がる子も多く、ひどい子ではパニックになって失禁や脱糞をしてしまったり、物を壊してしまったり、中にはリードや柵を壊して外に脱走してしまう子もいます。また、花火や玄関のベル、電話の音などに対して警戒心を持ち、異常に吠える子もいます。これらの行動は、音に対する恐怖心と警戒心からくることが多く、飼い主さんの対応次第では、どんどんその行動を助長させてしまうことがあります。
- 生活で出会う音を普段から流していく
- 犬が警戒しやすい日常の音を録音した、音に対する社会化のためのCDが市販されています。また、最近ではインターネットで探せば簡単に雷や花火などの生活音を手に入れることができます。それを普段から小さい音で流して、この音が鳴っても嫌なことが起きないと無意識のうちに刷り込ませてあげるのです。その時は以下の二点を意識してください。
- 少し警戒してしまうようであれば、音を小さくしてその種類の音を集中して流す。
- ご飯を食べていたり、遊んでいるという犬にとって好ましい時間に苦手な音を流しておく。
- 特定の音に対して好ましくない行動をとった時の対応
- 何かの音が鳴った時に、興奮したりぶるぶる震えるような好ましくない行動をとった場合は、大げさにあやしてあげるのはNGです。そういう好ましくない行動をとることで、飼い主さんがかばってくれたり、遊んでもらえると勘違いしてしまい、余計にその行動を助長してしまいます。
無視をしたり、お座りなどのコマンドを使ったりしてその場をしのいでください。大人しくなった段階で思いっきり遊んだり、ご褒美を与えてください。興奮が収まらない場合は、音が聞こえない場所に一時的に非難させてください。次にお話しするクレートトレーニングができている子では、クレートに入れてバスタオルなどで覆ってしまってもいいでしょう。
- 音に慣れさせるポイントは
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- 小さい音から慣れさせる
- 音と嫌な思いがつながらないようにする
- 音に怖がっているときに、必要以上にかまったり、甘えさせない
の3点です。以上に気を付けていろいろな音を子犬のうちから聞かせてあげましょう。
次回は、種々の環境(シチュエーション)と体を触られることに対する社会化をご紹介いたします。
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