子犬が初めてお家にやって来たら、何をしたいですか?もちろん、優しく抱っこしたり、思い切り遊んだりして、初めての家や家族に囲まれる緊張やとまどいから解放してあげるということは非常に重要です。初めの数日はそれでいいでしょう。
ただし、人の子供を育てるのと同じく、ただかわいがるだけでは、犬にとっても飼い主さんにとっても良いことではありません。子犬のうちにすべきことは非常に多いのです。そしてその多くは子犬の時でないとできないことなのです。
社会化期とは
生後5か月くらいまでの時期を社会化期と呼び、人で言えば小学生くらいまでの時期にあたるのではないかと思います。この時期には、子犬がいろいろなことを経験し、その経験から学ぶことで、良いこと悪いことの区別や、自分にとって害のあるものなのか好ましいものなのかの見極めを行う時期でもあります。この時期を過ぎてしまうと、性格や行動の仕方がある程度決まってしまうので、それを変えていこうとするのは非常に難しいです。この時期に「しつけ」を行うことが重要になってきます。
また、社会化期は、恐怖心よりも好奇心が上回る時期です。この時期に経験していないことは、大人になってからは警戒の対象になってしまいます。社会化期にさまざまなことを経験させておくことも非常に重要です。
しつけはすべて「褒めて伸ばす」
現在では、犬のしつけの基本は「褒めて伸ばす」です。「犬は痛みを与えなければわからない」というのは古い考えで、望ましい行動をとった時に犬が喜ぶことをしてあげることが非常に重要です。言葉が通じないため、重要なのは「タイミング」と「わかりやすさ」です。「何をした時」に「褒めてもらえたか」というのをわからせてあげることが必要です。「わかりやすく、すぐに褒める」を徹底してください。
また、人によって褒める基準や褒め方が違うと、わんちゃんは戸惑います。それも家族の皆さんで統一するようにしてください。
時には怒ることも必要になりますが、その場合、基本的に体罰は厳禁です。子犬を怒る方法で最も有効なのは「社会罰」です。これは「無視をされる」「隔離される」罰です。子犬にとって非常につらい罰ですが、体罰と違って人への恐怖心を植え付けない方法であるので、必要なときは、最低限の頻度と時間で行ってください。
褒める方法
褒める方法は、わんちゃんが喜ぶ方法であれば何でも構いません。具体的には
- 「よしよし」と思いきりかわいがる
- テンション高く遊んであげる
- おやつを与える
などです。共通して言えることは、わんちゃんが喜ぶことを、できるだけ高い声とテンションで行うということです。声は大きすぎないほうがいいですが、「人も喜んでいるんだ」ということを全力で表現してあげることが大切です。人が喜ぶことは、わんちゃんも喜ぶことなのです。
やるべきしつけ
この時期にやるべきことは多いですが、最も重要なのは以下の3種類です。
- 社会化・慣れ:
- 人(子供・大人・男女・眼鏡・髭・高い声・低い声など)
- 他の動物(小型犬・大型犬・猫など)
- 音(チャイム、車、雷など)
- 環境(ケージ、車、留守番など)
- 触られること(耳、爪、口、お尻など)
- トイレ
- コマンド:お座り・お手・待てなど
犬との幸せな生活を送るために
しつけがうまくいかず、問題行動を起こすために、飼い主さんと犬との関係性がうまくいかないということは珍しくありません。欧米ではそうした理由で安楽死が選択されるケースもしばしばあります。それは犬にとってはもちろん、飼い主さんにとっても非常に不幸な結果です。
飼い主さんと犬との関係は、子犬のうちのしつけにかかっていると言っても過言ではありません。社会化期にある子犬の時期に、やるべきことをしっかりやることが、その後10数年の楽しく幸せな生活を一緒に送るための重要なカギとなるのです。
次の記事から、具体的な社会化・しつけの方法を書いて行く予定です。
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