今回はさらに種々の環境(シチュエーション)と体を触られることに対する社会化をご紹介します。
社会化について前回の記事はこちら↓
シチュエーション(ケージ、車、留守番など)に慣れてもらおう
環境への社会化も非常に重要です。特に車で出かけたい、お留守番やホテルに預けたい、病院での入院で怖がらないようにしたいなど、普段と違う環境に慣れてもらうことは大切です。
クレートトレーニング
クレートというのは、移動式のキャリーのことです。
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クレートの中に入っているという状態に慣れてもらうことは、クレートでの移動だけでなく、ホテルに預ける場合や病院での入院、またお家での留守番の際に大切です。
- まずは、クレートの扉を開けた状態で、中にフードやおもちゃを入れて自分で入ってくれるか見てみます。
- 警戒して入らない場合は、入り口付近におやつにおき、徐々に奥に置くようにしてみます。このとき、絶対に押したり、無理に扉を閉じたりしないようにしてください。
- うまくクレートに入ってくれるようになったら、軽く扉を閉め気味にして反応を見ます。
- もしそれで怖がる場合は、ケージの隙間からおやつをあげるなどしてみます。
- それほど怖がらなくなったら完全に閉めて徐々にその時間を伸ばしたり、少し移動をしてみましょう。
- 出たがる場合は、中で少しおやつを入れるなどしてなだめてあげましょう。それでも出たがる場合は無理をせず出してあげてください。クレートの中が怖いという思いは絶対にさせないように、徐々に慣れていくようにしてください。数日以上かけて徐々に慣れさせてください。
車での移動
クレートで落ち着いていられるようになると、ケージや車の移動も可能になります。
もし、クレートではなく、裸の状態で車移動をしたい場合も基本的には考え方は同じです。
最初は扉を開けて、抱っこなどをして車に乗ります。その時におやつを与えましょう。車の中が快適な場所だと覚えてもらうのです。慣れてきたら、車の扉を閉めて、車の中で遊んであげます。それができたら5分、10分と少し車を運転して様子を見ます。
落ち着かない場合は一度車を止めて遊んでもらう必要があります。車に慣れても、車酔いしてしまう子はどうしようもないので、その場合は、セレニアなどの酔い止めの薬を処方してもらうようにしてください。
留守番
留守番は、
- フリーの状態での留守番
- ケージやサークルに入っての留守番
の2つの方法があります。
基本的にはどちらでもいいですが、できれば2つめの方法ができるようになっておいた方がいいです。
理由は、ペットホテルや病院に預ける必要があるときに、ケージやサークルに入ることに慣れているとストレスが少ないためです。また、人の赤ちゃんと同じくなんでも飲み込んでしまう子もいます。人の食べ物やごみだけでなく、ビニール、靴下、観葉植物など、詰まってしまったり、毒性のあるものを飲み込んでしまうこともあります。そういった癖があるかどうかわかるまでは、サークルの中でお留守番してもらう方が安心です。
基本的に、サークルでのお留守番トレーニングはクレートと同じで、サークルの中は特別楽しい場所で、怖い場所ではないということを覚えてもらうことが必要です。そのため、サークルの中でご飯やおやつを与えてもらったり、サークルの中でだけ遊べる特別なおもちゃを与えてもらうといいでしょう。決して、悪いことをした時にサークルに閉じ込めるということはしないでください。
サークルの中で留守番をさせることはかわいそうなことではありません。実際、お留守番の時間のほとんどを犬は寝て過ごします。サークルが落ち着ける場所になっていれば、何も問題ありません。留守番の時間はいきなり8時間などとしてしまうとかなり不安になってしまうので、できれば最初は数十分から始めて徐々に伸ばしていってください。
体を触られること(耳、爪、口、お尻など)に慣れてもらおう
子犬は基本的にどこを触っても嫌がりません。親が全身を舐めて愛情表現を見せながら体の手入れをしてくれるためです。
ただし、大人になると、この部分は触らしてくれないという場所が出てきてしまうことがあります。それは小さいころに嫌な思いをしたことがあったり、大人になるまでほとんど触られなかったため触られることに慣れていない、などが原因になります。
触られることに慣れることは、爪切り、耳掃除、歯磨き、肛門嚢絞りなど日常のお手入れをするうえで非常に大切です。
慣れていないと、爪切りを3人がかりで抑えてしないとできないとか、外耳炎になっても耳掃除すらできないということになってしまいます。慣れていれば何のストレスにもならない処置がストレスになってしまうというのは犬にとっては非常にかわいそうなことです。子犬のうちから触ることに慣れさせてください。
これも、おやつを与えながら触っていき、嫌がるようであればやめるということを繰り返すことが大切です。体を触られることとプラスの感情をうまく結びつけてください。
重点的に慣れさせるのは、顔回り(特に、口や歯、瞼、耳)、手足の先(肉球や爪)、お尻、しっぽです。そういった部分は比較的デリケートな部分ですが、日常のお手入れや病気の治療の際に触る必要のある部分です。小さいうちから慣れさせてください。
また、ブラッシングが必要な少し毛の長い子ではブラッシングをされることにも慣れてもらった方がいいでしょう。他の部分を触るのと同じような感じでブラッシングにも慣れておいてもらってください。
以上で社会化に関する記事は終わりです。
社会化の基本は、
- 「小さいころにできるだけいろいろな人、環境、出来事などを経験させる」こと
- 「その経験を、怖い思いではなくいい思い出と結びつける」こと
です。子犬のうちしかできない社会化をしっかりすることが、しつけをうまく行う一番の近道です。お家に慣れてきたら早めに少しずつ始めてください。
次回は、一番相談の多い「トイレのしつけ」です。
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