獣医監修コラム集

現役獣医師が教える!フィラリアとその予防法について

リモサボン
フィラリアとその予防法について

フィラリア予防してますか?
感染すると重篤な病気を引き起こすこともあるフィラリア症。
今回は、フィラリア、そして、フィラリアの予防法について、現役獣医師に聞きました。
フィラリアについてよく知らなった方やまだ愛犬にフィラリア予防をさせていない方は必見です。

フィラリアについて

フィラリア症とは、イヌ糸状虫という寄生虫が蚊を媒介して犬や猫に感染し、重篤な病害を起こす病気です。

フィラリアの成虫は、オスが12~18㎝、メスが25~30㎝にもなる素麺のような乳白色の寄生虫です。ミクロフィラリアと呼ばれるフィラリアの幼虫が成虫になるためには、犬の体内だけではなく、蚊の体内で発育することが必要になります。そして、成虫になったフィラリアが病害を起こします。

感染犬の体内で生まれたミクロフィラリアの第1期幼虫は、血中で約1年間生息することができます。この間に、蚊が吸血し、ミクロフィラリアが蚊の体内に取り込まれると、蚊の体内で第1期幼虫から第3期幼虫まで発育します。この際、気温が15度以上にならないと発育できないといわれています。そのため、フィラリア予防は寒い冬の間、地域によっては不要と考えられています。

第1期幼虫が第3期幼虫になるまでには、通常2週間かかります。その後、第3期幼虫になったミクロフィラリアは、蚊が他の犬を吸血する際に、蚊の吸血孔から他の犬の体内に入りこみ、新たな犬が感染してしまいます。

犬の体内に入った第3期幼虫は、第4期、第5期幼虫、さらにフィラリア成虫へと成長します。フィラリア成虫は、血管内を通って肺動脈や心臓などへ移行し、さらに成熟した成虫へと発育していきます。フィラリアに感染してから成熟した成虫になるまでには、およそ6ヶ月間かかることが明らかにされています。その後、メスのフィラリア成虫はミクロフィラリアを産出するので、ミクロフィラリアが検出されるのは、感染してから約7~8ヵ月後になります。フィラリア成虫の寿命は5~7年といわれています。

妊娠している感染犬では、第1期幼虫(ミクロフィラリア)が胎盤を介して赤ちゃんに感染することはありますが、蚊の体内でのみ第1期幼虫から第3期幼虫まで発育することができるため、このような第1期幼虫がフィラリア成虫になることはなく、病害は起こりません。

たくさんのフィラリア成虫が心臓などに寄生してしまうと、呼吸が苦しくなったり、失神するなどの症状を示し、とても重篤な病害を起こして死に至ることもあります。このフィラリア成虫を手術や薬で取り除く治療はとても大変で、お金や時間がかかるだけでなく、犬の体に大きな負担がかかります。また、治療の前後は運動を制限しなくてはならず、犬の性格によっては大きなストレスとなるでしょう。さらに、他の病気を併発している犬では、治療に数ヶ月を要することもあります。このような恐ろしい病気を未然に防ぐため、フィラリア予防が推奨されています。

フィラリア検査

フィラリア症を薬で予防する前には、必ず動物病院でフィラリア検査を受けましょう。その理由は、すでにフィラリアに感染し、たくさんのミクロフィラリアが体内に生存している犬にフィラリア予防薬を投与してしまうと、ショックを起こして死に至る可能性があるためです。

フィラリア検査は、ミクロフィラリア検査やフィラリア成虫抗原検査など、動物病院で簡単に行える血液の検査です。ただし、検査結果はあくまで目安のため、定期的な検査が必要になります。

ミクロフィラリアは感染犬の体内を移動しており、末梢血液中に現れる時間帯には個体差があります。感染犬のミクロフィラリアが末梢血液中に滞在していない時に採血を行い検査をしても、結果は陰性となります。このように、ミクロフィラリア検査の結果は必ずしも正確ではありません。また、フィラリア抗原検査は、フィラリアのメスの成虫が犬の体内に生息していることを判定する検査なので、成虫になる前のフィラリアやオスのフィラリア成虫に感染していても、それを判定することができません。

アメリカのフィラリア協会は、年に1回のフィラリア検査の実施を推奨していますが、以下のような例外もあります。

7ヶ月齢以下の子犬
7ヶ月齢以下の子犬に関しては、フィラリア検査をせずにフィラリア予防を行います。フィラリア検査は、感染してから7ヶ月後にならないと判定することができないため、7ヶ月齢以下の子犬へのフィラリア検査は不要なのです。そして、初診から6ヶ月後、さらに6ヶ月後に再検査を行い、その後は1年ごとにフィラリア検査を行いましょう。アメリカフィラリア協会は、7ヶ月齢前の子犬のフィラリア検査は不要ですが、フィラリア予防は生後8週間から開始するよう推奨しています。
初めてフィラリア予防をする犬(7ヶ月齢以上)
第1回目のフィラリア検査から6ヶ月後、12ヶ月後に再検査を行い、その後は年に1回の検査を行うよう推奨しています。
フィラリア予防の間隔があいてしまった犬
まず、予防薬を再び投与し始め、6ヶ月後にフィラリア検査を行うよう推奨しています。フィラリア検査が不要な理由は上記のように、感染してから7ヶ月後にならないと判定することができないためです。
ただし、予防停止期間が長期に及ぶなど、重度のフィラリアに感染している可能性がある場合には、獣医師の指示に従って予防を行うことをおすすめします。

フィラリア予防薬

フィラリア予防薬は、ミクロフィラリアを駆除する薬で、経口薬(チュアブルタイプなど)や滴下薬、注射などいくつかの種類があります。経口薬と滴下薬は月に1回、注射は年に1~2回の投与が必要です。含まれる成分は各薬剤により異なります。チュアブルタイプの経口薬には、イベルメクチンを主成分とするハートガードなどがあります。

コリーやジャーマン・シェパードなどの犬種では、イベルメクチン過敏症がみられることがありますので、他の薬剤(イベルメクチン以外)を使用するか、DNA検査でイベルメクチン過敏症がないかを予め調べることをおすすめします。

滴下タイプの予防薬には、レボリューション(成分:セラメクチン)などがあり、レボリューションはフィラリアだけではなく、マダニやノミを駆除することができます。滴下タイプの薬は、滴下した部位を舐めることにより、嘔吐や下痢などの胃腸障害、また滴下部位の脱毛といった副作用が報告されていますので、使用の際には滴下部位を舐めないよう注意が必要です。

予防薬によっては、ワンちゃんがアレルギー反応を示すこともありますので、それぞれのワンちゃんにあった予防薬を選びましょう。

参考文献およびURL

ルール久枝

投稿者の記事一覧

1995年に獣医大学を卒業後、馬と小動物の臨床獣医師に従事。2002年にオーストラリアへ移住し、日本とオーストラリアで獣医業および獣医翻訳業に勤しむ。2011年からはオーストラリアで動物の代替診療を行っている。

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