ワンちゃんが震える原因はたくさんあります。興奮したときや寒いとき、怖いときに震えたり、中毒や痛みがあるとき、病気によって震えることもあります。
では、ワンちゃんが震えていたら、どんな対処をしたらいいのでしょうか?
震えの原因が興奮や恐怖のためではないと思われたら、まずは体温を測ってみましょう。そして、震えの原因を探るため、震え以外の症状を観察してみてください。
まずは、体温測定をしましょう
ワンちゃんの体温は、直腸で測る方法(体温計の先端を肛門に入れて測定する方法)が最も一般的です。
測定の際には直腸を傷つけないように注意してください。体温計の先端部にワセリンやオリーブオイルなどを塗ると肛門に入れやすくなります。
また、肛門に刺激が加わるとうんちが肛門近くまででてきてしまうことがあります。体温計がうんちに邪魔されて、正確な体温を測れないことがあるので、気を付けてください。
ワンちゃんの正常体温(直腸温)は以下のとおりです。年齢とサイズによって変わりますので注意してください。
生後間もない子犬 | 35.6~36.1℃(生後7日以降:37.2~37.8℃前後) |
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子犬 | 37.2~39.2℃ |
成犬 | 37.5~39.2℃(小型犬で38.6~39.2℃、大型犬で37.5~38.6℃) |
こんな症状がみられたら、早急に動物病院へ
- 低体温もしくは高熱低体温の場合には、まずお家でワンちゃんの体を温めてみます。その後、体温が上がらず、震えが止まらないときには病院へ連れていきましょう。
ワンちゃんの体を温めるには、毛布を掛けてあげたり、湯たんぽやお湯を入れたペットボトルなどをワンちゃんの近くにおいてあげます。この際、ワンちゃんが低温やけどをしないよう、湯たんぽやペットボトルをタオルでまき、ワンちゃんの体に直接触れないよう注意します。
体温をあげすぎないよう、5分毎にワンちゃんの状態をチェックします。 - 体温が正常で震えが長い時間止まらない
- 元気がない、ぐったりしている
- 嘔吐や下痢を伴う
- 涎を垂らす、しきりに舌をぺろぺろする、何度も欠伸をする(吐き気があるときの症状です。)
- 痛みのサイン:震えている、パンティング(舌を出してハアハアする)が止まらない、クーンクーンと鳴き続けるなど。
- 歩く様子に異常を感じる
- 食欲低下
上記の症状がみられる原因として考えられるのは、ジステンパーなどの感染性の病気や低血糖、中毒、関節痛や高齢、熱中症、腎臓病、内分泌系の病気、全身性振戦症候群(ホワイトシェイカードッグ症候群)などがあげられます。
ここでは、しばしばみられる低血糖や中毒、関節炎などによる震えと高齢犬にみられる震えについて簡単にご説明いたします。また、白い小型犬などにみられる全身性振戦症候群(ホワイトドッグシェイカー症候群)についてもお話しさせていただきます。
低血糖
子犬や高齢犬にみられることが多いのですが、成犬にも起こることがあります。
低血糖になる原因は、子犬では特発性(原因が明らかにされていない病気)低血糖や飢餓、子犬や成犬、高齢犬では肝臓機能不全や肺血症などがあります。
治療は、ブドウ糖を口から与えたり、重症なワンちゃんには補液を行います。
中毒
薬物や毒物、毒性植物、チョコレートやたばこ、キシリトールなどを食べてしまうと、中毒を起こすことがあります。
中毒では、震えの他に吐き気(涎を垂らす、しきりに舌をぺろぺろする、あくびをする)、嘔吐などの症状を示します。
食べてはいけないものを食べてしまい、吐き気や嘔吐を示す場合には、食べてしまった物や量をできる限り把握して病院で伝えましょう。
関節炎などによる痛み
関節炎などによる痛みがあると体を震わすことがあります。
歩く様子を観察して、異常がないか確認してみましょう。また、全身を軽くマッサージするように触ってみて、どこか痛がるところ(痛みのある部分を軽く触ると皮膚を動かす動作をすることがあります。このような動作を示す時には軽い痛みが疑われます。)や傷はないか確認してみましょう。
関節炎などが疑われる場合には、レントゲン検査などで診断してもらいましょう。
高齢犬
高齢犬が体を震わせているときには、以下のことに注意が必要です。
体温調節機能が低下してしまうため、寒さや暑さにうまく対応できなくなる時がありますので、まずは体温をチェックしてみましょう。
また、高齢犬は関節炎を発症していたり、内分泌系の病気に罹っていることがありますので、病院で診察してもらうとよいでしょう。
健康に異常がなく、短時間だけ震えている場合には、体温に気を付けて様子をみてみましょう。
全身性振戦症候群(ホワイトドッグシェイカー症候群)
マルチーズやウエストハイランドホワイトテリアなど、白い小型犬にみられることが多いため、このような名前が付けられていますが、他の犬種でも発生することはあります。
9ヶ月齢から2歳ごろに症状を示すことが多く、原因は不明です。
コルチコステロイドなどの薬で治療することができます。
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