しつけと聞くと一番に思い浮かべる「お座り・伏せ・待て」。これらの指令を「コマンド」と呼びますが、これは単なる芸ではなく、飼い主さんとの信頼関係を深めるために重要なしつけの一つなんですよ! 大人になってからでもできる子も多いので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
コマンドの意味――コマンドは上下関係と信頼関係の証
コマンドを教えることのメリットはいったい何なのでしょうか?
犬は、もともと集団生活が得意で、上下関係をしっかり作るタイプの動物です。立場が下のものは、ボスの命令に従うという本能があります。それは単に従わなければならないというだけでなく、従うことでボスに守ってもらえるという安心感があるのです。つまり、コマンドを使うことで、
- 上下関係がはっきりする
- コマンドを実行している間は安心できる
という利点があるのです。
コマンドがしっかりすると、上下関係が逆転してしまうα症候群などの防止になりますし、お座りや待てをしている間は、ボスである飼い主さんに守ってもらえるという安心感を持てますので、お出かけの時にパニックになってしまうことも少なくなります。
コマンドの基本「お座り」
コマンドの基本は「お座り」です。お座りがしっかりできてから、「待て」や「伏せ」を覚えてもらいましょう。
- 「お座り」のステップ1 お座りの姿勢を覚えさせる
- お座りの姿勢、子犬の時からわかっている子は多くはありません。まずはお座りの姿勢を覚えてもらう必要があります。その手順は以下の通りです。
犬が4本足で立っている時に
- おやつを持った手を顔の少し上に持っていき、首を上に伸ばさせる
- その状態で軽く腰を下に押す
- 少し腰が落ちたら褒めながらおやつを上げる
これが最初のステップです。これを繰り返して、いわゆるお座りの姿勢である犬座姿勢を覚えてもらいます。
- 「お座り」のステップ2 タイミングを見て「お座り」と掛け声をかける
- ステップ1を繰り返すと、おやつを持った手を高いところに持っていくことでお座りの体勢に自然になるようになります。
次は、お座りをしそうになったら「お座り」と言ってください。「シット」(sit=座れ)でも構いません。そうすることで徐々に「お座り」という言葉と、お座りの姿勢が頭の中でつながってきます。
- 「お座り」のステップ3 「お座り」という言葉だけでお座りをさせる
- ステップ2を繰り返すうちに、おやつを頭の上にあげなくても、「お座り」というだけで座るようになります。その場合も、お座りをしたら必ず褒めたりおやつなどのご褒美を与えてください。
ステップ1~3までは、早い子では5日程度でできますが、2週間くらいかけてじっくり行うようにしてください。
お座りの応用「伏せ」
伏せはお座りの姿勢を使って行います。お座りができるようになったら、すぐに「伏せ」に行かず、1週間程度はお座りを完ぺきにするようにしてください。それをしないと、伏せのトレーニングの最中で「お座りをしてもご褒美がもらえない」と思ってしまうことがあります。
伏せのトレーニングのステップです。
- お座りの姿勢を取らせる
- おやつを握った手を下におろしていって、犬の少し前の床につける。こうすることで鼻先が床に来ますので、そのまま手を手前に引いてくると犬の体勢も伸びて、伏せができるようになります。
伏せの体勢がわからず取れない子もいます。その場合は以下の2つの対処法どちらかを行ってください。
- 体が前に伸びたら、体を床に押し付けるように、軽く上半身を下に押す。
- お座りしている犬の前で、体の左側が犬の方に向くように自分が体操座りになる。おやつを持った右手を膝の下から通して犬の頭が自分の膝の下に入るようにしてそのまま膝をトンネルのようにして伏せをさせる。
伏せも最終的にはお座りと同じように、掛け声のみで行えるようにします。
覚えておくと非常に有用な「待て」
「待て」は性格によっては難しいこともあります。お座りの体勢で行ってもいいですし、伏せの体勢で行ってもいいですが、お座りや伏せがしっかり安定してできるようになってからに教えてください。
待ての手順は以下の通りです
- 「待て」というのと同時に、手のひらを犬の方に向けて「止まれ」の合図を出す
- 少しの間、「待て」の姿勢で待たせたら、必ず「よし」といってご褒美を与える
- その「待て」の時間を伸ばしていく
- ご飯を目の前に置いてみて「待て」と言って制してみる
- おやつを目の前にしても「待て」を維持させて、「よし」で食べさせる
- 手のポーズを取らなくても言葉だけでやってみる
必ず「よし」で「待て」を解除してあげてください。
この「待て」に慣れてくると、「待て」で止まる癖が付きます。散歩で他の犬を見ると興奮しやすい子も「待て」の間は落ち着いて待てるようになったり、リードが外れてしまった場合も「待て」で止めることができるようになります。できるだけしっかり覚えてもらってください。
まとめ
コマンドは単なる命令ではなく、飼い主さんと犬との信頼関係を作るコミュニケーションです。また、覚えておくことによる日常生活のメリットも大きいです。
じっくり楽しみながら確実に覚えてもらいましょうね。
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