日本で一番飼われている犬種「トイプードル」。2008年~8年連続で登録件数No1の犬種です。
少し大きめの「ミニチュアプードル」や一番小さい「ティーカッププードル」などという呼び名に分かれていることもありますが、大きさ以外の特徴は、全く同じです。今回はトイプードルによくみられる病気をご紹介しましょう。
膝蓋骨内方脱臼
いわゆる膝のお皿がずれてしまう病気です。トイプードルの最も代表的な病気ですね。実際に軽度の脱臼を含めるとほとんどのトイプードルが持っていると言っても過言ではない病気です。
症状
初期の症状は、跛行(いわゆるびっこ)です。急に足を上げてケンケンする子もいますし、なんとなく後ろ足をかばって歩き方がおかしいということで気付くことも多いです。特に激しく運動をした後に症状が出ることが多いようですね。
症状は脱臼の重症度(グレード)によって変わりますが、重症度が高くなると、跛行の時間が長くなったり、足が細くなってしまいます。
治療
治療法は重症度によって大きく変わってきます。
軽度の膝蓋骨脱臼の場合は、保存療法という内科的な治療を選択することが多いです。その場合は、肥満の防止・激しい運動の禁止・必要に応じて痛み止めやサプリメントなどを使うことで悪化しないようにします。
膝蓋骨脱臼は、完治はできませんが、軽症の子では症状を出さずに一生付き合っていけることが多いです。
重度の膝蓋骨脱臼では手術が必要になります。そのため、トイプードルを飼っている場合は、歩き方に注意して、かばっている様子がある場合はできるだけ早めに病院で診てもらう方がいいでしょう。
治療にかかる金額
診断のためにレントゲンを取ることが多く、その場合には数千円~1万円程度かかります。
痛み止めは1日100~200円程度、サプリメントは1日50円程度であることが多いです。手術になった場合は、術後に入院も数日必要になり、費用が10万円を超えることも少なくありません。
注意点
トイプードルにとって、膝蓋骨脱臼は避けて通れない病気と言ってもいいでしょう。症状が少しでもある場合は早めに診察を受けて、必要な治療を受けることが大切です。
膝蓋骨脱臼と診断された場合は、膝の負担を減らすために、太らせないことと、床をフローリングではなくカーペットや畳にしてあげることも重要です。
外耳炎
トイプードルは、耳道に毛が生えているため、耳道が蒸れやすかったり、その毛に耳垢がへばりついたりして、外耳炎を非常に起こしやすいです。
症状
耳を良く掻く・顔を良く振る・耳が臭い・耳の内側に茶色っぽい汚れが付くなどです。1年中を通してみられる病気ですが、夏場は特に注意が必要です。
治療
基本的には、病院で耳の掃除をして薬を入れてもらうことです。重症の場合は注射や飲み薬が必要になります。
治療にかかる金額
基本的に外耳炎の治療はそれほど高くはありません。1回あたり2,000円~4,000円程度であることが多いです。あまりに重症であれば、注射や特別な処置が必要になり、それより高くなることもあります。
注意点
外耳炎になりやすい子は、定期的に耳毛抜きや耳掃除が必要になります。病院やトリミングで1,2カ月に一度やってもらいましょう。
椎間板ヘルニア
トイプードルは「軟骨異栄養犬種」と言われ、椎間板ヘルニアの好発犬種です。
症状
突然背中や腰の痛みが出て、傷みで鳴いたり震えたりすることが多いです。中には後ろ足のマヒや跛行を起こす子もいます。
治療
内科的な治療としては、痛み止めやビタミン剤を使いつつ、しばらく安静にします。レーザーや赤外線による治療をすることも多いですね。完全マヒなどの重症例では手術が必要になることもあります。
治療にかかる金額
軽症であればレントゲンの数千円とお薬代で1万円程度に収まるケースが多いです。手術が必要な場合はCTやMRIが必要になったり、しばらく入院することが多いため20万円を超えることも珍しくありません。
注意点
腰への負担をかけないことが大切です。太りすぎないようにしてもらい、椎間板ヘルニアを持っている子ではジャンプや階段の上り下りは避けた方がいいでしょう。
白内障
高齢の犬に非常に多い白内障ですが、トイプードルには若いうちから発症する若年性白内障も少なくありません。
症状
初期の白内障では何となく黒目が白っぽく見えてくることが多いです。若年性白内障では1歳でも発症することがあります。暗い場所で見えにくいというのが初期症状ですが、進行すると完全に失明してしまうこともあります。
治療
白内障の予防効果があると言われる点眼薬もありますが、効果が定かではなく、あくまで予防効果であり治療にはなりません。白内障の治療には手術が必要になります。
治療にかかる金額
犬の白内障手術は眼科の専門病院でないとできなく、全身麻酔も必要なため、20万円以上かかります。
注意点
手術の成功率は90%以上と言われていますが、手術適応にならないことも少なくありません。ただし、進行した白内障では、手術をしないと視力は回復しません。その場合は、目が見えなくても生活できるよう、家の環境を整えてあげる必要があります。
まとめ
愛らしい行動と従順な性格で人気のトイプードル。それほど病気の多い犬種ではないですが、膝蓋骨脱臼が非常に多い犬種です。
体格が小さすぎる子では膝蓋骨脱臼のリスクも高くなるので、かわいいからと言って非常に小さい子を選ぶのはあまりお勧めできません。ある程度体つきがしっかりしている子の方が骨格も強く、病気のリスクは低いことが多いですよ。
本記事に記載された内容は、2016年12月20日現在における情報です。また、各病気に対する治療費等はあくまで目安であり、動物病院によって費用は異なりますので、ご注意ください。
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