(本記事は2017年12月15日に更新されました。)
『最近よく耳にするブリーダーって何をしている人?』
『ブリーダーにも色々な種類があるの?』
『ブリーダーになるにはどうしたらいいの?』
『良いブリーダーから犬を迎えるにはどうすればいいの?』
本記事は、これらのような「ブリーダーとは」「良いブリーダーから犬を迎える方法」について知りたい方へ向けて書かれています。
はじめまして。
ブリーダー犬索サイトPePを運営しております、國政と申します。
突然ですが、
みなさんはブリーダーと聞いて、どんな職業か答えることはできますか?
お恥ずかしい話、私は大学に入るまで、その存在すらほとんど知りませんでした。
ペットに関係していることは知っていても、具体的にどんな仕事をしているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ブリーダーの中でも「犬のブリーダー」についてご紹介します。
「ブリーダーを目指している方」や「ブリーダーから犬を飼うことを検討している方」の一助となれば幸いです。
ブリーダーとは
犬のブリーダーは、一般的に、犬種の犬質向上や体質向上を目的として犬の繁殖を行い、生まれた子犬を飼育・販売しています。
ブリーダーには、犬がとても好きだったり、特定の犬種に魅了されたという方が多いです。
もちろん、犬への愛情や深い理解だけでなく、繁殖生理や犬種特有の遺伝性疾患など犬に関するさまざまな知識も持っています。
そのため、遺伝性疾患が生じないような交配を選択したり、飼い主さんに対して飼育に関する適切なアドバイスをしてくれます。
ブリーダーと接する機会はあまりないので分かりづらいですが、みなさんの周りで見かける犬は、元を辿れば全てブリーダーが生み出していると言えます。
ブリーダーの種類
一口にブリーダーと言っても、犬を繁殖させる目的やブリーディングに対する想いなどによって、さまざまな種類に分けられます。
ブリーダーを大別すると以下のようになります。
- シリアスブリーダー
- ホビーブリーダー
- 職業ブリーダー
- バックヤードブリーダー
- パピーミル
シリアスブリーダー
一般的に優良ブリーダーと言われるのがシリアスブリーダーです。
何をもって優良とするかは、色んな意見があると思いますが、以下の点を重視しているブリーダーはシリアスブリーダーに該当します。
- 犬種の犬質向上や体質向上を目的として犬の繁殖をおこなっている。
- 犬に関する知識が豊富で、新しい知識を得るための勉強を欠かさない。
- 流行りに流されることなく、特定の犬種を繁殖させている。
- 利益最優先で繁殖させることなく、計画的に繁殖をおこなっている。
ホビーブリーダー
ホビーという名の通り、趣味に近い形で繁殖をおこなうブリーダーを指します。本業が別にあって副業としておこなっているブリーダーがこちらに分類されることもあります。
趣味という言葉から、片手間にブリーダーをしていると思われがちですが、そういうわけではありません。(もちろん、中にはそういう方もいるかもしれませんが。)
時に、シリアスブリーダー並みの知識や実績をもつブリーダーもいます。
一方で、シリアスブリーダーと比べると、やはり知識の幅や深さが劣っていることも少なくありません。
職業ブリーダー
犬の繁殖をビジネスとしておこなうブリーダーを指します。
ビジネスとしておこなう以上、利益を出していく必要があります。
後述するパピーミルと混同されやすいですが、犬に負担のかからないビジネスモデルを確立しているブリーダーもいます。
時に、前述したブリーダーよりも計画的で質の高いブリーディングをおこなっているケースも。
ただし、本来のブリーダーの目的である「犬質の向上」や「体質向上」を優先して繁殖させているわけではないので、一歩間違えるとパピーミルになることも・・・。
バックヤードブリーダー
バックヤードという言葉の通り、表にはあまり出てくることはなく、ペットショップや競り市などに子犬を卸すことで収益をあげるタイプのブリーダー。
犬に関する知識もあまりなく、新しい知識を取り入れようとすることもあまりないので、誤った知識のまま繁殖させているケースもあります。
表向きは普通のブリーダーであっても、パピーミルと大差ない場合もあり、注意が必要です。
パピーミル
ニュースでよく見かけるパピーミルという言葉。
パピーは子犬、ミルは工場という意味で、その名の通り、大量生産する工場のように子犬を繁殖させるブリーダーを指します。
利益最優先のため、犬質向上や体質向上を目指して繁殖はおこないません。
質より量、薄利多売により、親犬への負担の大きい繁殖が特徴。
ブリーダーとは言えず、悪徳繁殖業者などと呼ばれることもあります。
その他
これらの他にも、ショードッグを育てることに長けたブリーダーや、タレント犬育成をするブリーダー、警察犬やセラピードッグに携わるブリーダーなど、さまざまなブリーダーが存在しています。
ブリーダーの仕事内容
ブリーダーの仕事は主に「繁殖」「飼育」「販売」になります。
- 「繁殖」
- 犬質や体質の向上を目的として、遺伝性疾患が生じないような交配をおこないます。犬に関する基本的な知識はもちろん、繁殖や遺伝性疾患など幅広い知識が要求されます。
- 「飼育」
- 繁殖も大事ですが、飼育も重要なブリーダーの仕事。子犬は、社会性を身につける重要な幼少期をブリーダーのもとで過ごします。そのため、飼育は子犬の性格や体質などを左右する大切な仕事と言えます。
- 「販売」
- 生まれた子犬や成犬、ペットグッズ等を販売することも仕事のうちの1つです。
なぜなら、質の高い繁殖・飼育をおこなうためには、どうしてもお金が必要になるからです。犬舎等の設備、親犬の飼育、遺伝子検査、交配、子犬の飼育、予防接種、知識を得るための勉強、など挙げればキリがありませんが、多くの費用と時間を必要とします。
これら費用を賄えるほどのお金を確保することも大切な仕事と言えるでしょう。(方向性を間違うとパピーミルになってしまうので、注意が必要です。)
ブリーダーになるには
ブリーダーになるには、第一種動物取扱業業者として都道府県知事または政令市の長の登録を受けなければなりません。
環境省のHPにも次のような記載があります。
第一種動物取扱業を営む者は、事業所・業種ごとに都道府県知事または政令市の長の登録を受けなければなりません。また、動物の管理の方法や飼養施設の規模や構造などの基準を守ることが義務づけられています。
第一種動物取扱業者は命あるものである動物を扱うプロとして、より適正な取り扱いが求められます。
環境省 第一種動物取扱業者の規制
第一種動物取扱業には、いくつかの業種がありますが、そのうちブリーダーは、「販売」にあたります。
さらに、
第一種動物取扱業者のうち、犬又は猫の販売や販売のための繁殖を行う者については、「犬猫等販売業者」として犬猫健康安全計画の策定とその遵守、獣医師との連携の確保など追加の義務が課せられます。
環境省 第一種動物取扱業者の規制
このように、多くの基準をクリアした者がブリーダーとして登録できるのです。
誰でも第一種動物取扱業業者になれるの?
ブリーダーになるには、第一種動物取扱業業者として登録しなければいけないことは先ほども述べました。
では、その第一種動物取扱業業者には誰でもなれるのでしょうか?
答えはNOです。
例として、大阪府の第一種動物取扱業業者の登録に必要な基準・要件についてみていきましょう。
- 事業所及び飼養施設に係る土地及び施設に関して、事業の実施に必要な権原を有している。
- 事業所ごとに、一名以上の常勤の職員が当該事業所に専属の動物取扱責任者として配属させる。
- 事業所ごとに、顧客に対し適正な動物の飼養及び保管方法等を説明し、又は動物を取り扱う職員を設置する。(動物取扱責任者が兼ねてもよい。)
- 事業所以外の場所において、顧客に対し適正な動物の飼養及び保管方法等を説明し、又は動物を取り扱う職員を設置する。(動物取扱責任者が兼ねてもよい。)
- 動物の適正な取扱のために必要な飼養施設を有し、又は営業の開始までに設置する見込みがある。
これらは登録要件の一部で、他にも登録拒否要件や施設基準、販売業の遵守基準など守らなければならないことがたくさんあります。
ここでポイントとなるのが、
上の登録要件にもある
「事業所ごとに、一名以上の常勤の職員が当該事業所に専属の動物取扱責任者として配属させる。」
です。
第一種動物取扱業業者として登録するには、専属の動物取扱責任者を配置させる必要があります。
1人でブリーダー業を始める場合、
「え・・・専属の動物取扱責任者を雇わないといけないの?」
と思うかもしれませんが、そういうわけではありません。
自分が動物取扱責任者になり、その後、第一種動物取扱業業者として登録すれば、ブリーダーとして活動できます。
逆に、自分が動物取扱責任者にならなくても、専属の動物取扱責任者を雇えば、第一種動物取扱業業者として登録できるというわけです。
動物取扱責任者になるには?
では次に、動物取扱責任者には誰でもなれるのでしょうか?
これも答えはNO。
以下の資格要件のいずれかを満たす必要があります。
- 営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年以上の実務経験があること。
- 営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学校法人その他の教育機関を卒業していること。
- 公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること。
販売及び貸出に関する実務経験もなく、関係する教育機関を卒業していない方がブリーダーになるには、3の選択肢が現実的でしょう。
一般社団法人ジャパンケネルクラブの「愛犬飼育管理士」や公益社団法人日本愛玩動物協会の「愛玩動物飼養管理士」などの資格を取得すれば、3の要件を満たすことができます。
欠格要件に該当せず、資格要件を満たしていれば、動物取扱責任者になれますが、
毎年、動物取扱責任者研修(講習会)を受ける必要があるなど、各都道府県等で定められた義務が生じます。
まとめると、ブリーダーになるためには、
- 自分が動物取扱責任者になる or 専属の動物取扱責任者を雇う
- 第一種動物取扱業者(販売)として登録する
必要があるということですね。
良いブリーダーとは
ブリーダーから犬を迎えようと考えている方にとって、気になるのは「良いブリーダーかどうか」だと思います。
ブリーダーの良し悪しに明確な基準があるわけではないので、飼い主さんが何を重視するかによって違いはありますが、以下の点について満たしていれば良いと言えます。
- 1. 特定の犬種を繁殖させている
- 良いブリーダーの多くは、特定の犬種に魅了され、その犬種を守っていきたい、多くの人に知ってもらいたいという想いが強いです。
これは、ブリーダーの本来の目的である「犬種の保存」や「犬質の向上」にもつながる話で、特定の犬種に特化していくのは自然の流れと言えます。一方で、流行りの犬種だからといって、さまざまな犬種を繁殖させているブリーダーには注意が必要です。
複数犬種繁殖させているから悪いということではありませんが、1犬種に特化したブリーダーに比べれば、その犬種に対する理解や知識、経験などは必然的に劣ります。 - 2. 犬舎が清潔である
- 基本中の基本ではありますが、犬舎が清潔に保たれているかどうかは重要なポイントです。
子犬の時期は特に感染症のリスクが高く、犬舎が汚れているとそのリスクはさらに高まります。本当に犬のことを想っているブリーダーであれば、犬舎を汚れたまま放置するということはありえませんので、見学時などに清潔かどうかチェックすることをおすすめします。
- 3. 犬に関する知識・経験が豊富である
- 良いブリーディングをおこなうためには、さまざまな知識が問われます。犬という生き物に関する知識はもちろん、犬種、繁殖、感染症や遺伝子関連の知識など挙げればキリがないほど。
また、交配や子犬の飼育・しつけなど、経験も必要とされます。そして、これらの知識や経験は獣医学の発展により、日々新しくなっていきますので、常に最新の情報を取り入れる姿勢が求められます。
- 4. 犬を飼うデメリットについても話してくれる
- 良いブリーダーは、我が子のように子犬達を育てています。
そのため、愛情をもって飼ってくれる方にしか子犬を譲りたくないと考えるブリーダーが多いです。子犬は可愛く、メリットだけを伝えて買わせることは簡単でしょう。
ただ、良いブリーダーというのは、買わせることではなく、大切に育ててもらうことを目的としているので、衝動買いを促すようなことはしません。
ブリーダーから犬を飼うには
ペットショップではなく、ブリーダーから直接犬を迎えるという方も少しずつ増えてきました。
どのようにブリーダーから犬を迎えればよいのか分からないという方のために、簡単な流れについてご説明します。
ぜひ参考にしてみてください。
- ブリーダーを探す
- 犬舎を見学する
- 子犬を予約する
- 子犬に関する契約を結ぶ
- 子犬を迎える
- 1. ブリーダーを探す
- まずは、ブリーダーを探しましょう。探す方法をいくつかご紹介しますので、自分に合った方法で探してみてくださいね。
- ① 知人をつたってブリーダーを探す
- 知り合いにブリーダーがいるという方は少ないと思いますので、友達や知人をつたってブリーダーを探します。
- ② ドッグショーなどに出かけてブリーダーと直接知り合う
- ドッグショーやアジリティーなど、ブリーダーが集まるイベントに参加し、直接ブリーダーと知り合う方法です。難易度としてはなかなか高いかもしれませんね。
- ③ ブリーダーのホームページを検索してコンタクトをとる
- 「大阪 ブリーダー」や「ブリーダー チワワ」など、探したいブリーダーの条件で検索し、ヒットしたブリーダーのホームページを探す方法です。
ブリーダーが自身のホームページを持っていれば、そこでブリーダーや子犬に関する詳しい情報を得ることができ、また、ブリーダーに直接問い合わせることもできます。 - ④ ブリーダー検索サイトを利用する
- ③の方法だと、1件1件検索して比較していく必要があります。それが面倒だという方には、ブリーダー検索サイトがおすすめです。
全国のブリーダーを好みの条件で絞り込み検索できるので、効率よくブリーダーを探すことが可能です。1犬種に特化したブリーダーを探したい場合であれば、「単犬種専門ブリーダーサイト」や「チワワ専門 ブリーダーサイト」などと検索すればお好みのサイトが見つかるでしょう。
- 2.犬舎を見学する
- 気に入ったブリーダーが見つかったら、コンタクトをとってみましょう。
子犬が欲しい旨を伝えると、多くの場合、子犬の見学に来るようお願いされます。
面倒くさいと思うかもしれませんが、犬舎&犬の見学は非常に大事です。実際に犬舎や犬を見ることで、画像や動画では分からなかったことが分かります。
見学時に、ブリーダーと相談しながら、犬を飼った際のイメージを膨らませるのも良いでしょう。 - 3.子犬を予約する
- 見学時に、気に入った子犬が見つかった場合、仮予約をおこないます。
この時点で、販売価格の半額など支払う場合もあります。まだ販売できない(法律で定められた販売に供することのできる日齢を満たしていない)子犬の場合や、慎重なブリーダーの場合、見学当日は仮予約だけおこなうケースが多いです。
- 4.子犬に関する契約を結ぶ
- 仮予約後、本契約へと進みます。本契約時に、法律で定められた動物の特徴や飼養方法等についての説明を受け、双方了承した上で契約を交わします。ブリーダーによっては独自の項目を設けていますので、契約内容をよく確認した上で契約しましょう。
- 5.子犬を迎える
- 無事に契約が済んだら、子犬を迎える準備をします。
子犬を迎える方法には大きく分けて3つあります。- 犬舎まで直接迎えに行く
- ブリーダーに出張してもらう
- 専門の代行業者に届けてもらう
- ①犬舎まで直接迎えに行く
- 見学時と同様、犬舎まで子犬を迎えに行きます。最もスタンダードな方法です。
犬舎が近い場合はできる限り直接迎えに行くようにしましょう。 - ②ブリーダーに出張してもらう
- 犬舎が少し遠い場合などはブリーダーに出張してもらい、子犬を届けてもらいます。
近場であれば無料で届けてもらえますが、距離によっては出張費用がかかる場合もあります。また、出張に対応していないブリーダーもいますので、必ず確認しておくようにしましょう。
- ③専門の代行業者に届けてもらう
- ブリーダーに代わって専門の業者が子犬を届けてくれます。
遠方のブリーダーから子犬を迎える場合などに利用します。代行費用がかかったり、そもそも対応していない場合がありますので、こちらもブリーダーに確認しておくようにしましょう。
最後に
ブリーダーについて簡単に説明してきましたが、いかがでしたか?
ニュース等では、悪徳繁殖業者ばかり報じられているので、ブリーダーについて知る機会はあまりないですよね。
両者が混同されてしまい、ブリーダーの印象が悪くなるのを避けたいという思いで、本記事を執筆しました。
少しでもブリーダーについて知ってもらえたなら、とても嬉しいです。
もっと知りたい!と興味を持ってくれたらさらに嬉しいです。
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