最近は安全面を重視して天然酸化防止剤が使用されているドッグフードがほとんどですが、実は保存方法によっては天然酸化防止剤でも犬の健康に悪影響を及ぼす場合があります。
今日は酸化防止剤について詳しくご紹介したいと思います。
酸化防止剤とは
ドライフードには、10%程度の脂肪が含まれています。その脂肪は酸素や光に触れるとすぐに酸化が始まります。この「脂肪の酸化」を防ぐのが「酸化防止剤」です。酸化防止剤を添加することにより、ドッグフードを長期保存することが可能となっています。
酸化防止剤には、化学的に合成された「合成酸化防止剤」と植物などから抽出された「天然酸化防止剤」があります。
合成酸化防止剤について
ドッグフードに使用されている合成酸化防止剤は人用には使用禁止となっているものもあり、非常に高い抗酸化作用を持ちますが、健康被害のリスクも高いといわれています。特に危険とされている合成酸化防止剤をご紹介します。
- エトキシキン
- 枯葉剤の酸化防止剤として使用されており、日本では食品添加物として使用することができません。皮膚炎やがんのリスクがあります。
- BHA
- 「ブチルヒドロキシアニソール」の略称です。ガソリン用の酸化防止剤として使用されてきました。バターやマーガリンなど一部の食品では使用を認められていますが、膀胱がんや甲状腺がんのリスクがあります。
- BHT
- 「ジブチルヒドロキシトルエン」の略称です。化粧品や石油の酸化防止剤として使用されています。冷凍食品や油脂を多く含む食品などに使用されています。遺伝子の突然変異や染色体異常が確認されています。
天然酸化防止剤について
ローズマリーなどのハーブ類やビタミンC、緑茶抽出物、クエン酸など口に入れても安全な天然由来の酸化防止剤です。酸化防止剤そのものは健康への直接的な悪影響はないとされていますが、抗酸化作用が弱いのが特徴です。
天然酸化防止剤だからといって安心であるとは限らない
健康志向フードには、オメガ3やオメガ6など、「不飽和脂肪酸」を加えているフードが多く見られます。犬の体によさそう!・・・に見えますが、不飽和脂肪酸は非常に酸化しやすい成分です。抗酸化作用の弱い天然酸化防止剤で長期間にわたり酸化を防止することはできません。
また、ドッグフードに含まれている脂肪分に加えて、嗜好性を高めるためにさらに動物性油がスプレーされているフードがあります。ドッグフードを手でぎゅっと握ってみてください。べとべと感が手に残る場合は油脂分をスプレーされている可能性が高いです。表面上にスプレーされた油脂分も非常に酸化しやすく、天然酸化防止剤で酸化を防止することはできません。
天然酸化防止剤は安全である反面、「ドッグフードを長期にわたり酸化を防止することはできない。」という理解が必要です。
ドッグフードの酸化は恐ろしい
ドッグフードが酸化するとどうなるのでしょう?これらの油脂分が酸化すると「過酸化脂質」が生成されます。過酸化脂質が蓄積してくると、食中毒、ガン、アレルギー、心臓疾患などの原因となります。また、細胞を傷つけたり、老化の促進とも関係しています。
ドッグフードの状態によっては、天然酸化防止剤を使用したものの方が合成酸化防止剤を使用したドッグフードよりも発がん率が高くなってしまう可能性もあるのです。
合成酸化防止剤はドッグフードの脂肪分の代わりに酸化することで、過酸化脂質の生成を抑えています。海外の一部のドッグフードで未だに合成酸化防止剤が使用されているのはこのためです。
天然酸化防止剤を使用しているドッグフードの選び方と保管方法
- できるだけ、小さい袋を購入しましょう(1~5kg)
- ドッグフードの酸化は開封した瞬間から始まります。特に多頭飼いや大型犬の家庭では10キロや15キロ入りの大きな袋を選んでしまいがちですが、できるだけ少ない量をこまめに買うようにしてください。袋の中でさらに小分けパックになっているドッグフードがベストです。
- 2~4週間で使い切りましょう
- 賞味期限にかかわらず、1ヶ月以内、できれば2週間以内で食べきる量を購入してください。
- 保存は直射日光を避け、暗所に保存しましょう
- 酸素や直射日光はドッグフードの酸化を促進してしまいます。小分けされているものであれば小分けパックを、されていないものであれば、チャック付き袋に小分けして可能であれば冷蔵庫や冷凍庫で保存してください。
- においを確認しましょう
- 販売店での保管方法が劣悪な場合、購入した時点でドッグフードが酸化している場合があります。開封したらまずはにおいを確認してみましょう。異臭がする場合や犬が食べるのをいやがるような時には無理に与えないでください。
- できれば、不飽和脂肪酸(オメガ3)が添加されていないドッグフードを選びましょう。
- 特にオメガ3は非常に酸化が早いので、与えたい場合は、オメガ3は別に購入し、ドッグフードにトッピングしてあげることをおすすめします。もちろん、オメガ3は遮光瓶やカプセル入りのものを選び、冷蔵庫で保管して速やかに使い切ることが大切です。
- 製造日や消費(賞味)期限を確認しましょう
- 基本的なことですが、期限が迫っているドッグフードは購入しないように! すでに酸化が進んでいる可能性があります。
最後に
いかがでしたか?
私たちがドッグフード選びや保管に気を配ることで、少しでもドッグフードの酸化を遅らせることができます。少々割高であったり、面倒くさいかもしれませんが、長い目で見れば犬の健康に大きく関わることですので是非実行してあげてくださいね!
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